はじめての計画停電

世の中がすっかり変わってしまった震災。
あれから普段見なかったテレビを見る毎日・・・・。
ニュースの中は本当にこれが事実なのかと思う映像ばかり。
被災地とその皆さまのことを思うと、こんなことをしていてよいのか?
僕にできることは無いのかと自問自答の日々。
この三日、まったく寝られない日々が続く。
当たり前だが17日から予定していた上海への仕事の予定はキャンセルした。
昨年夏も急遽キャンセルした上海、きっと僕にはご縁が無いように思う。
明日からはじまる長泉町の日本画教室展も計画停電で急遽中止とした。
そんなこんなで予定がガラリと変わり、主宰する教室の生徒さんへの
連絡やら事務処理に追われていた。
4月2日からも二カ月続く熱海市の起雲閣での企画展もどうなるかが不安だ。
今、僕の額を主に作っていただいていた額屋は仙台市。
もちろん電話はつながらない。注文していた額はもう来ないということになってしまった。
今更、他の額屋に注文しても半月では到底間に合うはずもない。
僕にとっては絵を描き、展示することは仕事だ。
そんなことはまるでお気楽極楽のように思え、罪悪感さえ感じていた。
そんな時もらった親友のMのメールで勇気づけられた。
だからこそ、とにかく僕は今できる最善の準備をするしかない。
絵描きとしての当たり前の生活や今までどおりの準備。
朝、予定通りに山梨県の青苔寺に以前お納めした屏風を友人の車で取りに行く。
起雲閣の展示のメインとしてこの屏風はどうしても必要だった。
三時間で何とかたどり着く。
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この地域も本来なら間もなく計画停電になるとかで、とにかく急いで作業。
いつもならゆっくりお茶をいただくところだが、すぐに失礼した。
熱海でも18時20分から計画停電。今までに経験したことが無い。
それまでには帰ろうとすぐに帰路に着く。
途中、御殿場のスーパーで買い物をする。
もしかしたらどこでも売り切れ状態の電池があるかもと思ったのだが・・・・やはり無い。
僕が会計を終わり、出口に出ようとした瞬間だった  パッ  と闇につつまれた。
ワーと声がする。御殿場で計画停電が始まったようだ。
とにかく4時とは言え、店内は真っ暗闇。正直異様な空気だ。
これが停電か・・・・。この時間でこれだとすると夜は暗いな・・・。
急いでまた車に乗る。
考えもしないで走るがなんかいつもと違う、そう信号がついていない!
大きな交差点は警察の方がいたが、小さい道はいないのでとにかく注意して熱海に。
懐中電灯、ロウソク、不要なコンセントは危ないので抜いたり・・・。
19時ちょうどにパッと熱海が闇になった。
こんなに暗いのは正直初めて。普段なら何てことないが、こんなときにまた地震が来たら不安。
屋上に上がる。見たこともないような熱海がそこにあった。
しかし月は美しい。
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暗闇の中の3時間は実に長かった。
自分自身と命を考える時間になった。しかし 普通 って凄いんだね。

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