私の戒名

戒名っていろんな考え方があるよね。
私も以前まで何の関心もなかった。普通暮していてあるはずがない。何となく仏壇にある位牌に書いてある 文字 としか解らなかった。
5年前に一緒に生活を共にしていた最愛の祖父が亡くなった。私をとにかく可愛がってくれた。もちろん厳しくも育てられた。食事のマナーから、敬語、それはそれは厳しい祖父だったが、常に家族を愛してくれた。最期の3年は寝たきりの生活だったが、どうしても施設や病院を嫌い私の母が最期まで自宅で愛情一杯の介護をしてくれた。祖父もきっと喜んでるに違いないし、母も偉大である。
そんな祖父が亡くなり、葬儀一切を坂本家16代目の私が仕切ることとなった。何も分からないながらも、私たちを愛してくれた祖父を最後は立派に送ってあげたいと思い全てにこだわって段取りをしていた。
そんな中で直面したのが『戒名』という問題だった。
・・・・・どうしたものか?先祖の過去帳を広げる。我が家は代々あるので30名以上の戒名がそこにあった。そんな中に祖父が一番尊敬していた祖父の伯父畠山鶴吉の戒名を見つける。
鶴吉の父と母は我が家坂本家の墓に眠っているのだった。
『大歩院殿鶴翁光含彰徳大居士』
よく分からないながらもさすが立派な戒名・・・・。
祖父は熱海つるやホテルの役員として会社のため、伯父のために人生を捧げた人だった。伯父の戒名にも『鶴』の文字がある。祖父の名前の一字『徳』もある・・・これは祖父も喜んでくれるなぁ。
菩提寺のご住職にお電話し、戒名には是非『鶴』の文字を入れてくださいとお願いした。
通夜の日、ご住職から祖父に戒名が与えられた。
『圓融院鶴嶺寿徳大居士』
・・・・・・母と私と涙がでた。祖父にお似合いの名前がついたね。
祖父の父(私のひい祖父さん)は『法光院』という。『法光圓融禅師』というのはお寺を開いた開山様の名前で、その名前を親子で頂いたと聞きました。その翌年に私も大本山・南禅寺の管長中村文峰老大師様に『武徳』という戒名をいただきました。
立派な戒名は生きてる人間の見栄だとか、金の無駄とか言われますが、最愛の人が亡くなったらやはり喜んでもらいたいと思うのが人間、家族ですよね。
見栄っ張りだって思われても祖父が喜んでくれたら何よりなのです。
だってね、先祖がいて私の存在があるんだから・・。感謝ですよ。

祖父と2歳の頃 私も50代はこんなになるのではないかな・・・。

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