春を待つ

(1996年 紙本彩色 116.7×90.9cm 第31回日春展)

冬のある日、熱海には珍しい雪が降った。僕は嬉しくて外へ散歩に出かける。街の中はまぶしいくらい真っ白な雪の世界となっていた。少し歩いた所のペットショップに立ち寄り、店の隅で小さくうずくまる白うさぎを見つける。うさぎは一羽でとても寂しそうに見えた。この寒い冬を乗り切り春が来るのをじっと待っているのに違いないと感じた。時おり体を持ち上げ鼻をクンクンとさせている。まるで春のにおいを探しているかのようだ。雪の日はとても美しいが、僕も寒い冬より暖かい春が待ちどおしい。うさぎといっしょに春を待つ……。 日春展(日展日本画部春季展)初出品入選作で僕のデビュー作となりました。

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