絵描きにとって嬉しくもあり、切なくもあるのは作品の旅立ちです。
お納めする作品によっては二度と会えないものもあります。
優越は無いけれど、今回の作品はとても思い入れのある作品となったのです。
今から7年前になるが、今回のご依頼主でもある熱海の老舗の社長様から
一枚の作品の依頼をいただいた。
初孫様へのプレゼントの作品とのことでした。
それも少し不思議なご注文で、そのご家庭では代々のお子様に
テーマ曲をつけて子守唄になさっているそうで、その曲から連想する作品と言うことだった。
その時もとても考え、時間と心をこめて描き上げた。
その後もお孫さまが生まれるたびにご依頼を受け、描かせていただいている。
そして今回は『お孫さまのお名前』がテーマとなった。
そのご家庭では実に60年ぶりの女児のご誕生とあって、とても感慨深げのご様子だった。
それから何度も下図を描き、実に3枚の絵を描き上げた。
『ゆっくりと坂本君の時間のあるときに・・・』そんなお言葉に甘え過ぎてしまい
完成までに1年半もかかってしまった。
こんなにお待たせすることはめったにありませんが、喜んでいただけたら嬉しい。
そして完成したのがこの作品です。(詳細はギャラリーページに)
僕はいつも作品をお納めするのは大安吉日と決めている。
この絵の旅立ちの時は明後日です。
それまではアトリエにかけて僕自身が楽しむ唯一の時間です。