今日は午前中は熱海新聞社の福島さんが取材に。
福島さんは8年ぶりの熱海。8年でずいぶんと熱海も変わったですね。
午後は制作。
日本画を描いていて、いつもこのキラキラする絵の具は何ですかって聞かれる。
日本画の絵の具はご存知の方も多いですが、
『岩絵の具』という、岩石を粉にしたものを使います。
もちろん、天然の絵具から合成のものまであります。
キラキラするのは石の粒子の輝きです。
日展制作をする夏から秋にかけて、絵の具をたくさん使いますね。
美しい絵の具は見ていても飽きません。
上野の喜屋さんから絵の具が届くと、何となく初心にかえります。
はじめて日本画の手ほどきを受けた高校時代、絵の具の高さにビックリした。
たった20グラムほどで1500円の絵具。
わずかなお小遣いでは10色も買えなかった。
それでも群青と岩緋を買い、大切に作品を仕上げた思い出。
もちろん筆も二本の彩色をを大切に使った。
絵描きって仕事も職人です。
道具を大切にし、その使い方を自身で身をもって覚える。
僕は大学は彫刻専攻だったので、基礎的な日本画の知識は少ない。
二回目の日春展の作品も、土屋禮一先生に御批評いただいた際も
『発色が悪いね。なんかもっとオロナミンCが欲しい感じだ』
と、言われた。
僕の絵はほかの先生からも暗いと言われることが多かった。
自分でもどう絵の具を使って良いか全く解らなかった。
どう描いて良いのかも悩んでいた。
ある時、そのことを高山先生に伺うと
『坂本君、あんたは気にし過ぎだよ。
紙に絵の具がつけばそれで良いんじゃないの』と言われた。
そうなんだ、とその当時は思いましたが、
高山先生ほど にかわも絵の具も研究し、使ってる方はいなかった。
そう励ましてくださったのだと感じて、今は自分なりに研究してる。
60代でも若手と言われるこの仕事。
絵の具一つとっても奥が深い。
右から左に物を売っても仕事、冷凍食品をチンして皿に盛っても仕事。
仕事っていろいろだね。
今はとある会社のロビーにお納めする30号を描いています。
僕は毎日が本当に楽しい。
絵を描く毎日は苦しいながらも充実しています。