絵描きの目になる

『先生、私は最近空を良く見るようになりました』
この金曜日からは教室や講座での講義が続いてる。
そんな中である生徒さんがそんなことを言った。
その方は現在、空をバックにした作品を描いている。
岩絵の具でなかなかその感じが出ないと夢中で制作に取り組んでおられる。
東大を卒業し、研究者として活躍されていたその方は研究所に籠り、
定年まで空をゆっくり眺めることは無かったのだろう。
『Hさん、それはね、絵描きの目になったからなんですよ』と僕。
すると『それは嬉しいですね』と目をキラキラさせて喜ぶ。
自分で言うのもなんだが、僕は小さなころからそんな目をしていたように思う。
皆が野球に夢中になってるときも、僕は空を眺めていた。
青い空は一体どこまで続くのか、青と白の雲が綺麗で何時間も眺めた。
友達が水泳に夢中になってる瞬間も僕だけはその水面の輝きを探っていたように思う。
秋の香り、樹の気持ち、猫に話しかけるのも言葉が分かるよな気がするからだ。
まあ、人から見たらただの変人か。
それでも僕は構わない。僕は僕の目。
この目で描き、見ている。
時に世事に構うと絵描きの目でなく商人の目になったりすることもある。
そんな時は自分が嫌だね。
正直に、いつでも絵描きの目でありたい。
人に対してもちょっと迷惑がられても、真剣に見てぶつかっていきたいな。

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